白と黒の渦、『ブラックスワン』

ブラック・スワン』(2011)
朝一で見てきたぁぁぁぁぁぁ!!!!!
もう楽しみすぎて昨日の夜全然眠れませんでした。

待ちに待ったブラック・スワン
ナタリー・ポートマンの最高傑作になったと思います!
ナタリー・ポートマンといったら衝撃のデビューを飾った『レオン』だけど、それ以降はど派手な主演作がなく、どの映画でもきちんと役をこなして素晴らしいけど『レオン』を超えるようなものはなかった。
でもこれからは大人になってからの代表作といえば間違いなく『ブラック・スワン』でしょう。


この映画は女優と作品の運命的な出会いによって生まれた名作だと思います。
ヒロイン役はナタリー・ポートマン以外考えられないくらいハマリ役。
映画のために鍛えられた肉体と丹精な顔立ちで踊る姿はため息がでるくらい美しい!!
ダンスシーンは一部ダブル・ダンスで合成されているらしいけど、彼女自身もかなり努力したんだと思いますね。


”白鳥”から”黒鳥”への変身を遂げるためには抑圧された自我を解放しなければならないけれど、ヒロインのニナの周りには主役の座を狙うライバルの存在や母親の過剰なまでの愛、”不感症の踊り”と言われるほどニナ自身が女性として未熟であることなど様々な障害がある。

狂気、精神崩壊、ドッペルゲンガー、幻覚というモチーフは私が研究しているネルヴァルなんかにも登場するものでロマン主義文学の共通言語でもある。
白鳥の湖」という古典的な題材を扱っているだけにかなり正統派で芸術性を考慮して作られた映画ではあるけれど、手持ちカメラで表現するダンスシーンやニナが体験している妄想の表現はすごく斬新で観客をどんどん引き込んでいく。


R-15指定だからある程度エロとグロがあるとは知っていたけど、予想以上に官能的なシーンや痛々しいシーン、ホラー映画並みの衝撃映像がありました。ライバル役のミラ・クニスとのレズシーンなんかは「Lの世界」を見慣れている私にとってはどうってことないけど、見慣れない人はちょっと驚くかもしれませんねw
この映画、ジャンルとしてはサイコスリラーになるらしい。でも、そういうのが苦手で普段見ない人もちょっと挑戦して見て欲しいです(^∇^)ダンサーのステージで華々しい姿とそれとは正反対に自我との孤独で過酷な戦いをしなければならない現実というものを知ることができるんじゃないかと思うのです。かく言う私も大学の部活は競技ダンスだったので、自分の求める動きや表現とそれを体現できるまでの辛さや大会前の踊り込みや試合前の緊張感などがわかります。高校時代はミュージカルやオペラの主役を取るまでの地道な努力と主役になってから背負うプレッシャーを味わいました。見かけは華やかな白鳥も水面下ではバタバタと足を動かしているとよく言われますが、そういった意味でも「白鳥の湖」は恰好の題材なんでしょうね。

前プリマ役としてウィノナ・ライダーが出ていたけど、ちょっと見ない間にものすごく老けていてがっかりしました。わざと老けさせていたのだろうけどちょっとひどかったなぁ。彼女も昔はナタリーのような純粋でいたいけな少女だったのになぁ。

ライバル役のミラ・クニスは「ジア」でアンジェリーナ・ジョリーの少女時代役として出ていましたね。成長するにつれてさらにアンジーに似てきて、「第二のアンジー」と言われているとか。
確かに「この子アンジーそっくり!」って言った気がします。ミラのハスキーな声と自由奔放そうでセクシーな感じすごく好きです。