タンクトップ姉ちゃんVS粘着質モンスター、『第7鉱区』

『第7鉱区』(2011)

映画のタイトルというものは非常に重要でありながらも本当にそれでよかったの?みたいなのありませんか?ありますよね。特に邦題。わざとパロディで使っている何かもう一線を越えてしまっているような、『マゾリックス』とか『パイパニック』とかの類の作品はいいのですが、そういうわけでもないのに何か既視感を覚えるようなそんなタイトル。

というわけで『第7鉱区』という韓国のモンスターパニック映画を観てきました。このタイトルからまずはエビのような造形のエイリアンが登場する映画をぽわわっと思い浮かべ、韓国のモンスターパニックと聞いてジャージ姿のソン・ガンホペ・ドゥナが出てくるあの映画を混ぜ合わせてなるほどそういう感じの映画に違いないと大体の見当をつけて観に行きました。

舞台となるのは1970年代から日韓共同で天然資源の開発が始まった東シナ海とその石油ボーリング船。白いタンクトップから露出した引き締まったボディが美しいヒロインの父親はその昔第7鉱区での掘削作業中に原因不明の事故で亡くなった。父の意志を継ぐかのように彼女は第7鉱区での石油採掘に精を出し折り合いの悪い上司といがみ合いながらも仲間と協力し合う。しかしある日乗組員の一人が事故死し、生態研究員の女性や医療担当官も謎の死を遂げる。やがて船内に得たいの知れない生物がいることに気づき彼女たちの死闘が始まる。

えーとですね。なんていうのかな、懐かしい感じがしたんですよ。人間ドラマも割としっかり描かれているんだけど全体的にどこかちゃちな感じ。でもこのちゃちな感じはそれほど悪くない。それは平成ゴジラシリーズを彷彿とさせるようなちゃちさだから。父親の面影を追いながら、絶対に第7鉱区で石油掘り当てるんじゃ!っていうまっすぐな意気込みとか、自分の命を投げ出してでも仲間を守ろうとする友情とかすごーくわかりやすいところが幼稚に感じてしまうのかもしれない。

モンスターの造形は深海生物ってことでなんかこうチョウチンアンコウに爬虫類系の手足が生えてゴジラのような長い尻尾がついてるというか、かなり不細工でぬちょっとねちょっとしてます。しかしこいつの幼体はクリオネのように愛らしく、まぁまぁ可愛いと指を出すとがぶっといくわけですね。得たいの知れないものに手を出したらいけないんですよ。そしてこのモンスターの強靭さと執拗さときたらアナコンダ級。銃で撃っても火で燃やしても扉にバイクで轢いても海に突き落としてもしつこくしつこーく追いかけてくる。ふぅやっと倒したぜと一安心して志村ー志村うしろー!って手法が何度も繰り返されます。

とまぁちゃちなドラマとしつこいモンスターというとあんまりいいイメージがないですが、それを払拭してくれるのがヒロインの白タンクトップのお姉ちゃん!!ショートヘアにきりっとした顔立ち。適度に引き締まった四肢。その男勝りな性格がまたいい!!わたくしボーイッシュなガールが大好きでございますの。どんだけボーイッシュかってぇとモンスターとプロレスやったりバイクで追いかけっこしたりするくらいお転婆さん。もう泥まみれのぐっちょぐちょっすよ!この徹底的なバトルシーンは見ていて純粋に楽しくてきゃっきゃしました。

というわけで『第9地区』とは全然関係なかったし、『グエムル』のような家族愛とか悲壮感とかメッセージ性は皆無だけど、小学生の頃に近所の自治会で観に行くようなスタンスで観ていただければ無邪気に楽しめるのではないかと思います。